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コロナ禍に人と人を隔てていた「アクリルボード」をコミュニケーションツールへ。学生団体による #ツナガルアクリルプロジェクト

2023年5月、龍谷大学では学生による「#ツナガルアクリルプロジェクト〜コロナ感染対策アクリルボードのアップサイクルプロジェクト」が発足。龍谷エクステンションセンター(REC)が実施する学生支援制度「龍谷チャレンジ」に採択されました。「#ツナガルアクリルプロジェクト」は、コロナ禍を経て使われなくなったアクリルボードを学内や地域で回収し、素材を活かしたコミュニケーションツールを開発することで、環境問題の解決に貢献しています。

今回は、プロジェクトの背景や経緯、活動内容について、代表の森彩花さん(心理学部1年)にお伺いしました。

文系のアイデア×理系の技術で
アクリル板のアップサイクルを実現

「アクリルボードは、コロナ禍において、飛沫によるウイルス感染予防の対策として使われていました。環境省では、不要となったアクリルボードのリユースやリサイクルを求めていますが、回収プロセスや再資源化の仕組みが整備されていません。アクリルボードを回収して再利用している企業もありますが、手間やコストがかかります。そのため国内ではアクリルボードの9割が焼却されており、リサイクル率は1割に満たないのが現状です。

そこで私たちは、『人と人とを隔てていたものを、人と人とを繋げるツールに変えよう』というコンセプトを掲げ、『#ツナガルアクリルプロジェクト』を発足しました。心理学部の滋野正道特任講師の呼びかけで有志が集まり、現在は心理学部・先端理工学部・経済学部・文学部所属の計9名(取材時点)で活動をおこなっています」。

「6月、深草キャンパスの近隣にある飲食店をまわりヒアリング調査をおこないました。すると、回収や再資源化の方法がわからないため、とりあえず保管しているという店舗がほとんどで、リサイクルをしている例はゼロでした。龍谷大学では、深草・大宮・瀬田の3キャンパスで合計約6,000枚が倉庫や空き部屋に保管されていました。

私たちの想いに賛同してくださった深草エリアの飲食店2店舗のアクリルボードを使い、早速アップサイクル品の製作にとりかかりました。瀬田キャンパスのものづくりスペース『STEAMコモンズ』で、UVプリンターとアクリルボードをカットするためのレーザー加工機を使用しました」。

「プロジェクトチームの発足時は文系学生のみ。文系の私たちは、アイデアは思いつくものの、それを形にする難しさを抱えていました。しかし、STEAMコモンズ(※)で出会った先端理工学部の学生2名が参加したことにより、加工や制作をスピーディに進めることができるようになりました。

先端理工学部の学生からは、素材の違いや扱い方についても教えてもらいました。アクリルボードの汚れをアルコールで除去すると、表面が白く濁ったり表面にひび割れが起きたりする可能性があるので、柔らかい布で水拭きと乾拭きしたほうが良いというのは、文系学生だけではわからなかった知識です。また、そもそもプラスチック素材にはPET樹脂やアクリル樹脂等たくさんの種類があり、その種類によって取扱い方法も異なります。製作の際、STEAMコモンズの加工機がPET樹脂加工に適していなかったため、レーザーによる加工が可能なアクリル樹脂のボードを選ぶという判断もできました。」。


※学生による主体的な「ものづくり」と「デザイン」を通した学生間の交流、地域コミュニティとの連携などを目的とした龍谷大学瀬田キャンパス(大津市)にある活動空間のこと


“人と人をツナゲル”をコンセプトに製品づくり

ラーメン店の駐車場の案内看板

「地域の方からも要望があり、深草エリアにあるラーメン店からは駐車場の案内看板を制作。もう1軒の店舗では時計盤を作ってほしいというリクエストがありました。店主さんと連携をとりながら、お店の雰囲気に合わせたデザインを作成中です」。

デジタル名刺

「今、開発しているのはスマートフォンで情報交換ができる『デジタル名刺』です。私たちは、イラストを印刷して切り出したアクリル板に、シール型NFCタグをはさんで製作しました。『デジタル名刺』とは、スマートフォンをかざすだけで名前や連絡先、InstagramのアカウントやホームページURL等のプロフィール情報を相手に送ることができる、新しい名刺です。イラストや写真を使ったり、音楽や映画といった趣味を書いたりすれば、相手とのコミュニケーションが活発になります。情報の書き込みアプリは無料で、書き換えも簡単にできます。かわいらしいアナログレコードの形なので、キーチャームとして持ち運ぶのもいいなと思います」。

「深草キャンパス・和顔館1階のスチューデントコモンズに、『#ツナガルアクリルプロジェクト』のブースを設置しています。ステンドグラス風のオーナメントや、ホワイトボードのように使えるコミュニケーションボードを置いています」。

環境問題を考えるきっかけを作るため
活動の輪を広げている

「秋からは、使われなくなった資源を有効活用する取組を、様々な場所で始めています。11月23日(木・祝)には、伏見区・藤森で子どもたちを対象にワークショップを開催。円形に切り出したアクリルに、手形を押したりイラストを描いたりしてもらい、世界に一つしかないキーチャームが仕上がりました。

また、宇治市にあるこども食堂では、アクリルボードのアップサイクルができないか現在考案中です。

アクリルボードをメガホンに生まれ変わらせる『アクリルメガホンプロジェクト』を主宰する企業からはコラボレーションのお誘いがありました。第1弾として、プロジェクト動画に私たちが出演。現在、動画は編集中です。

#ツナガルアクリルプロジェクトの目的は、<環境問題にツナゲル><人と人とをツナゲル><アップサイクルに対する関心をツナゲル>です。アクリルボードのアップサイクルは、ひとつのきっかけ。私たちの身の回りには、再利用の方法がわからずに廃棄されるものや、捨てられずに放っておかれているものがたくさんあります。多くの方々が身近な環境問題への意識を持ち、リサイクルやリユースを通して豊かなコミュニケーションをとってもらえると嬉しいです」