menu

みんなの仏教SDGsウェブマガジン ReTACTION|みんなの仏教SDGsウェブマガジン

シャボン玉で笑顔の輪を広げる——新しい社会貢献のかたち

龍谷大学の卒業生・在学生を中心に、大学生や社会人など約100名で構成されるシャボン玉パフォーマンス集団「京都シャボン玉飛ばし隊」。龍谷祭をはじめとする各種イベントでパフォーマンスを披露するほか、児童養護施設や高齢者施設、福祉施設などを訪問し、子どもたちや利用者の方々とシャボン玉を楽しむボランティア活動も行っています。

今回は、代表を務める法学部卒業生の西川智宏(にしかわ ともひろ)さん、社会学部 4年生の 蔵本千優(くらもと ちひろ)さん、心理学部1年生の 森國菫子(もりくに すみれこ)さんに、活動内容やその意義について伺いました。

子どもも大人も引き込まれる、シャボン玉のチカラ

京都シャボン玉飛ばし隊・代表 西川 智宏さん

代表の西川さんは龍谷大学法学部の卒業生で、会社員として働きながら活動を続けています。

「コロナ禍で気持ちが沈む日々が続くなか、YouTubeで偶然見たシャボン玉のパフォーマンスに心が動きました。試しに近所で飛ばしてみると『楽しそうですね』『写真を撮ってもいいですか』と声をかけてもらい、人々が笑顔になる光景を目の当たりにしました。シャボン玉には、ふと心を明るくする力があると感じたんです」。

西川さんは「コロナ禍で失われた笑顔を取り戻したい」との思いから、2022年に京都シャボン玉飛ばし隊を立ち上げました。SNSで学生に参加を呼びかけると次々と仲間が増え、現在は龍谷大学の学生約30名、関西の大学生約60名、さらに社会人約10名が在籍しています。

蔵本 千優さん(社会学部 4年生)

蔵本さんは、龍谷大学ボランティア・NPO活動センターの学生スタッフとして活動しています。
「先に参加した学生スタッフから『すごく楽しかった』と聞き、興味を持ちました。“パフォーマンス”と聞くと特別なアクションが必要なのかなと不安もありましたが、実際には子どもたちが安全に楽しく過ごせるようサポートすることがボランティアの役割だとわかりました。“何かをしてあげる”のではなく、大切なのは子どもたちと一緒に時間を過ごすこと、そして自分自身も心から楽しむこと。その場が幸せな雰囲気に包まれると、みんなが自然と楽しめるのだと感じました」。

森國 菫子さん(心理学部1年生)

森國さんは、心理学部の滋野正道講師の授業をきっかけに活動を知ったと言います。

「『学内でシャボン玉を飛ばすので、一緒に空を見上げてみませんか』という先生の呼びかけをきっかけに外へ出てみると、キャンパスの青空にシャボン玉が舞っていて、とてもきれいでした。
私は家族心理学に興味を持っていて、シャボン玉を通して子どもたちと関わる経験が学びにつながるのではないかと思い、参加しました」。

児童養護施設でのボランティアと、大型イベントへの参加

2025年9月には児童養護施設を訪問し、子どもたちと一緒にシャボン玉を楽しむボランティアを実施しました。蔵本さんは2年目、森國さんは初参加でした。

森國さん「入所したばかりでまだ周囲に馴染めていない男の子に『一緒にシャボン玉を飛ばしてみない?』と声をかけました。すると、名前や誕生日などをたくさん話してくれるようになり、次第に自分からシャボン玉作りに挑戦する姿も見られました。高学年の子が小さい子に教える場面もあり、シャボン玉には子どもの “やってみたい”という気持ちを引き出す力や、“つながり”を生む力があると改めて感じました。

シャボン玉体験の主体は、あくまで子どもたちです。一人ひとりが幸せを感じられる瞬間をサポートすることが、私たちボランティアの役割だと思っています。時には道具の取り合いや、順番を待てない子がいることもありますが、職員さんと連携しながら声をかけ、みんなが気持ちよく過ごせるように心がけています」。

蔵本さん「『あと5回飛ばしたら交代しようか』など、具体的に声をかけると子どもたちは自然と譲り合えるようになります。大きなシャボン玉ができて喜ぶ顔を見ると、本当にやりがいを感じます」。

西川さん「気持ちが沈んでいるとき、人は下を向きがちですが、シャボン玉を追いかけて空を見上げることで、少し元気になるような気がします。転んで泣いた子どもも、またシャボン玉が飛んでくると自分で立ち上がり、夢中で追いかけていく。そんな光景を何度も見てきました。シャボン玉が漂う空間には、平和で温かい雰囲気が広がっています」。

大阪・万博記念公園で開催される環境イベント「ロハスフェスタ」では毎年ブースを構え、シャボン玉パフォーマンスを披露しています。

蔵本さん「2025年秋のロハスフェスタは6日間開催され、グルメや物販、ワークショップなど約600店舗が出店していたそうです。その中でも、私たちのブースは特ににぎわっていました。1メートルほどの大きなシャボン玉をみんなで追いかけたり、歓声が上がったりして、子どもたちや親御さんにとって思い出に残る時間になったのではないかと思います」。

龍谷大学の学園祭「龍谷祭」でもパフォーマンスを実施。初日は雨で中止となりましたが、2日目は青空にシャボン玉が広がり、多くの人が足を止めて楽しんでいました。

被災地・能登半島への支援

2025年夏、西川さんはメンバーとともに、能登半島にある石川県七尾市を訪れました。

西川さん「仮設住宅には高齢者の方が多く、子供たちが外で遊ぶ姿はほとんど見られませんでした。市役所に相談したところ、保育園を紹介していただき、かき氷を食べながらシャボン玉パフォーマンスを楽しむ企画を保育園側が用意してくださいました。保育士さんや保護者の方々から『来年も来てほしいです』という温かい言葉をいただき、とても励みになりました」。

蔵本さん「私は別のボランティアで震災後定期的に能登を訪れています。広い家で生活していた子どもたちが、急に狭い仮設住宅での生活になり、体調を崩してしまうという話も聞きました。
いつか、外で思いきりシャボン玉を楽しめるようなボランティアができればいいなと思っています」。

持続可能な活動のために

西川さん「活動を始める際、“自分の財布から活動資金を出さない”と決めました。自費だけに頼ると、資金が尽きたときに支援が続けられなくなるためです。
そこで、イベントでいただいた出演料をシャボン玉液や道具の購入、学生の交通費や昼食代に充て、残った資金で児童養護施設などへの無償訪問を行っています。活動も4年目に入り、安定的な収入で社会貢献に取り組めるようになってきました」。

蔵本さん「シャボン玉は晴れの日も曇りの日もきれいで、子どもも大人も “ワクワクする時間”を共有できるのが魅力です。卒業後も長く関わっていきたいと考えています」。

森國さん「大学卒業後は大学院に進学し、子どもと家族の心理学を学ぶことが目標です。子どもたちと向き合う経験を積むためにも、シャボン玉の活動を続けていきたいです」。

 

今秋には京都シャボン玉飛ばし隊の「龍大支部」が立ち上がり、在学生・卒業生・教職員を対象にメンバーを募集しています。今後は大学行事や各地でのイベントに加え、心理学部・社会学部などとの授業連携、研究・学術連携、さらには保育園や高齢者施設などでの地域活動にも積極的に取り組んでいく予定です。

イベント出演のご依頼など、活動に関するお問い合わせは、京都シャボン玉飛ばし隊公式Instagramよりお気軽にお問い合わせください。

▼京都シャボン玉飛ばし隊 公式Instagram
https://www.instagram.com/shabondama_performer