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リサイクル率は70%以上。循環型社会の実現を目指す、廃棄物処理の専門企業「ホームケルン」

京都府宇治市に本社がある、廃棄物処理とリサイクルの専門企業「ホームケルン株式会社」。
企業や官公庁、飲食店のほか、龍谷大学の深草・大宮キャンパス、龍谷ミュージアムで出たプラスチック、飲料容器の瓶、缶、ペットボトルなどの廃棄物をリサイクルし、新たな素材や燃料へと生まれ変わらせています。
今回は京田辺市にあるメイン処理施設「ecoビレッジ」を訪問し、リサイクルのための工夫や、SDGs達成のためのさまざまな取り組みについてお聞きしました。

創業50年、「リサイクル推進のパートナー」として地域と社会の環境改善に貢献

専務取締役/国本 武さん

「ホームケルンは昭和47年創業。「共生、共存」を第一に、企業や官公庁、飲食店、大学といったお取り引き先と手を結ぶ「リサイクル推進のパートナー」として、持続可能な循環型社会の実現を目指しています。営業エリアは、近畿一円と、中部地方・中国地方の一部です。

産業革命以降、私たち人類は膨大な資源とエネルギーを活用しながら社会を発展させていきました。そのいっぽうで、容易に環境を破壊するすべも手に入れたかもしれません。私たち人間が生きている限り、ゴミは必ず発生します。社会活動・経済活動・地球環境を維持、発展させるためには、『適正処理』での資源の再生産が必要となります。もちろん、再生産できないものについては『適正処分』が求められます。

創業から50年で、リサイクル業界は驚くほど高度化しました。現在、当社ではIT システムを活用した総合管理など最先端の技術を取り入れながら、さまざまな工夫をしています。『常に、工夫とアイデアに専心する』『捨てるもので生活させていただくことへの感謝を忘れない』というポリシーを胸に、地域と社会の環境改善に貢献し続けています」。

細かな「仕分け」でリサイクル率をアップ

業務部 部長 兼 センター長/林田 崇さん

「回収した廃棄物は、素材別に細かく仕分けることでリサイクル率を上げています。具体的には、機械や風力のほか、人の目でチェックして選別をおこなっています」。

「紙・プラスティック・木くず・繊維くずは、混合率を計算してペレット(粒状)の固形燃料へ、自動車のタイヤはゴムと鉄に分けて燃料チップや原料に生まれ変わらせています。固形燃料は、工場やプラントで石炭の代わりとして使用されています。融点が高い素材が混ざると燃やしたときに炉を傷めてしまうため、やはり素材の仕分けが重要となります。

ペットボトルや缶などの飲料容器は選別・圧縮し、リサイクルなどのために別の加工場に運ばれます。工場では圧縮率を高めて、トラックでの輸送コストを削減する工夫もしています。ペットボトルは再度ペットボトルに、スチール缶は製鉄原料へ、アルミ缶は脱酸材(製鋼の過程で用いられるアルミ添加剤)になります。また、茶ビン、透明ビンはガラス瓶や建築資材にリサイクルされます。

2019年、フードロスを減らす目的で施行された「食品リサイクル法」には、京都でもっともすみやかに対応。同業数社で設立した「エコの森京都」(京都有機質資源株式会社)では、スーパーマーケットやコンビニ、食品メーカーなどから出る食品残渣(ざんさ)をリサイクルしています。肥料化、メタン化、炭化、熱回収などの方法がありますが、その中でも優先的におこなっているのが家畜飼料化です。家畜飼料の製造販売まで行い、飼料自給率の向上に寄与しています」。

執行役員/寺村 幸治さん

「この夏より、龍谷大学と島津製作所のそれぞれで発生する使用済みプラスティック製梱包材を、廃液用ポリエチレン容器として再利用するという取り組みが始まりました。そもそもの始まりは、島津製作所より『自社で排出した廃棄物を原料にし、ポリ容器を作れないか』と相談を受けたことです。そこでグループ会社のK・ネット(株)でプラスティック製梱包材をペレット化し、そのペレットを使い廃液用ポリエチレン容器を製造することになりました」。

「強度を確保するため、リサイクルペレットの含有量を変えたり、容器がへこまないように専用の金型を作ったりし、何度も実験を繰り返してようやく完成しました。島津製作所の取り組みに龍谷大学が参画されることで、循環型社会の形成が進むことでしょう。私たちとしては、大学と企業による、環境とリサイクルの新たな価値の創造に関わることができて光栄です。こうした流れがますます大きくなることを期待しています」。

リサイクル・障がい者雇用・地域貢献でSDGsの達成を目指す

「グループ会社を含めたケルングループでは、2030年に向けたSDGs17ゴールと、2050年カーボンニュートラルの達成へ向け、社会変革に対する対応と技術革新を進めています。
京田辺のメイン処理施設「ecoビレッジ」でのリサイクル率は70%以上。また、第1・第2工場の屋根全面に太陽光発電を設置し、年間約28万kwの発電をおこなっています」。

営業企画部 シニアアドバイザー/土山 雅之さん

「京田辺市、宇治市と連携し、就労支援施設としての役割も担っています。地域に住む障がい者の方々に、人の目でしかできない選別作業などで働いていただいています。毎日、大きな声であいさつし合い、働きがいのある仕事をまっとうされている方々ばかりで、本当に感謝しています。

また、環境活動の普及と地域活動による地元活性化のため、2020年に創設されたサッカークラブ「マッチャモーレ京都山城」をサポートしています。Jリーグ昇格を目指しているクラブなのですが、子どもたちが平等にスポーツを楽しめる社会の実現を目指し、子ども向けの無料スクールを開催されています。昨年は、当社リサイクル処理施設の見学会に子どもたちと家族をお招きしたんですよ。

当社ならびにケルングループは『持続可能な組織づくり』をテーマにしています。さまざまな業界と連携し、環境への配慮はもちろん、エネルギー問題の解決、地域貢献などにも取り組んでいます。地球環境をもっと改善するには、ゴミ分別を徹底してリサイクル率を上げることが必要です。廃棄物は、分別をしっかりすることで“資源”になるからです。すべては、一人ひとりの意識や行動にかかっていると言っても過言ではありません。持続可能な社会の実現のため、みなさんと一緒に前進できればと思っています」。