亀岡プロジェクト
龍谷大学は2008年から、亀岡の農業からCO2削減に取り組み地球温暖化防止を目指す「亀岡カーボンマイナスプロジェクト」の活動に関わっています。
このプロジェクトは大学、地元農家、小学校・高校等と協働で、亀岡の農業を元気にしつつ、SDGsの掲げる持続可能な環境対策の目標にもつながる、CO2を削減して地球温暖化防止を目指す活動です。
このプロジェクトの一環である、放置竹林から造った竹炭を堆肥に混ぜ農地に散布する「炭素隔離農法」の実証実験。その炭を混ぜた田畑で栽培された野菜が「クールベジタブル(クルベジ®)」です。
龍谷大学の学生たち20人が、このクルベジ®を利用した商品開発にチャレンジしました。
社会貢献のために、企画から認知拡大までの視点を養う
亀岡カーボンマイナスプロジェクトでは、クルベジ®ブランドを世に広めるため、6次産業化も含むブランド戦略、クルベジ®を使った食育、生産・流通の拡大、クールライスを使った日本酒オーナー制度、ソーラーシェアリングを使った実証実験など、周知のための活動に力をいれていました。
しかし、クルベジ®ブランドの地元での普及は依然としてすすまない状況が続いていました。
クルベジ®の価値と魅力を高めるため学生が挑戦したのは、クルベジ®ブランドの野菜を使った商品開発です。
プロジェクトは商品の企画・制作から販売まで行い、一連の活動を通して、学生にもお客様にも、地球温暖化や環境問題を考えるきっかけとなることが目的です。
プロジェクトは2日間の合宿で、商品制作から販売まで行います。初日はクルベジ®農家の中林弘一さん宅の調理場で作業に取りかかりました。
あらかじめ考えてきたレシピをもとに臨機応変に工夫を重ね、クルベジ®の米粉を利用したドーナツや、ジャム、かぼちゃのプリンパフェが完成。
商品のパッケージやポップは、「どうしたら他の商品と差別化できるか?」「どのようなデザインなら手にとってもらえるか?」「地球環境を考えるきっかけになるか?」など、試行錯誤を繰り返しました。
2日目の朝、地元の道の駅「ガレリアかめおか」にある物産市場「アトリオ」へ商品を納品し、学生自身が店頭に立ちました。開店後、学生は来店者に声をかけ、積極的に商品をPR。多くの方が興味を持ってくださり、商品は午前中で完売しました。
環境に関する問題提起や、地球温暖化防止の対策を広めるためにはどうしたらよいか…重要なのは、自分ひとりの頑張りだけでなく、より多くの人の共感を紡いでいくこと。商品販売までの思考錯誤のプロセス、店頭でのお客様とのリアルな反応は、物事を世に広める視点を磨くことにもつながります。
クルベジ®は環境保全を考えるツール
2019年10月14日、京都府亀岡市内で開催された「アグリフェスタ2019」。地産地消や「食」と「農」とのつながりを考えるイベントです。
ここでもオリジナル開発商品を販売する学生たちの姿がありました。
販売メニューはクルベジ®産の玉ねぎジャムを使ったクレープ、かぼちゃクッキー、じゃがいも・さつまいもチップス、かぼちゃパフェ、おやきの6種類。たくさんの方に味わっていただきましたが、目的は商品販売ではありません。この機会を通して「亀岡カーボンマイナスプロジェクト」がめざす気候変動の緩和や、地域の農産物の魅力について、一緒に考えてもらうことを目指します。
お子さん向けに、楽しみながら野菜に親しんでもらう「野菜の旬を当てる射的ゲーム」や、プロジェクトを紹介するフライヤーとチューリップの球根をプレゼントするなど、少しでも環境を考えるきっかけの場となるように考えました。
地域や社会に活動の輪を広めるために
クルベジ®商品の開発をはじめ、「亀岡カーボンマイナスプロジェクト」は大学や学生が単発で関わって終わりではなく、地域に受け入れられ、地域が担い手となるプロセスをデザインしていくことを目指しています。これからどう活動を広げていくか、つないでいくか、挑戦はまだまだこれからです。
活動を通じて、クルベジ®というツールで地域や社会とつながり、温暖化や環境問題を考えるきっかけを作るという、今後目指していくゴールとその道筋も見えてきたといいます。
学生たちは、この経験を次年度の受講生にもしっかりと引き継ぎ、年々パワーアップしていく取組にしていきたいと意欲的です。
脱炭素化は、現在国の政策にもなっている最重要課題の一つです。今後、日本が国際社会において持続可能な社会を実現するための小さく大きな一歩として、注目したい取り組みです。