2021年11月17日(水)、深草キャンパス成就館メインシアターにて、食品ロスをテーマにした映画上映会とトークセッションが開催されました。
映画「もったいないキッチン」の上映後、第1部は大学生によるプレゼンテーション。大学生目線でのこれからの食品ロスとSDGsに関する主張をおこないました。
第2部は以下3名による講演者によるトークショーでした。
岸田 学 氏
(農水省・大臣官房・新事業・食品産業部外食・食文化課食品ロス・リサイクル対策室・担当官)
関根 健次 氏(映画プロデューサー)
井出 留美 氏(食品ロス・ジャーナリスト)
2021年度、法学部 牛尾ゼミでは「コロナ禍での大学生の学び、アクティブ・ラーニングはどうあるべきか」というお題が牛尾洋也教授から出されました。龍谷大学法学部では、全国でも珍しい法学部でのアクティブ・ラーニング科目を2017年度から実施しています。学生は訴訟の現場に足を運ぶだけでなく、事前学習やテーマ設定、ヒアリング先の選定から日程調整、報告書作成までおこないます。
本年度、学生(2年生)は、身近な社会課題として「食品ロス(フードロス)」を選択しました。
『もったいない』は仏教に由来する言葉で日本から世界へ広まっていますが、日本の食品ロスは1年間に約643万トンと世界第3位。国民1人あたりに換算すると、全国民が毎日おにぎり1個を捨てています。ゼミ生はまず、食品ロスの問題と国内外の政策や法整備などを調査。期限切れや余った季節商品などを提供する社会貢献型ショッピングサイト「KURADASHI」を運営する株式会社クラダシ(東京都品川区)と食品ロス軽減の連携を結ぶ大垣市商工会議所(岐阜県)の担当者にオンラインでインタビューをおこないました。
さらに研究を深めるなかで、ドキュメンタリー映画『もったいないキッチン』(配給:ユナイテッドッピープル)を知ります。「食品ロスを楽しく解決!」を実践するオーストリア人フードアクティビスト(食材救出人)で映画監督のダーヴィド・グロス氏がキッチンカーで日本を巡り、廃棄予定の食材を生産者やシェフと共に美味しい料理に生まれ変わらせる内容です。
ゼミ生たちは学内上映を企画。牛尾教授の「単なる上映会では研究として成立しない。専門家を招いてのトークセッションに」という助言を受け、人選と交渉にも挑戦。この映画のプロデューサー関根健司氏、農林水産省食品ロス・リサイクル対策室担当者の岸田学氏の出演をかなえました。
チラシや当日パンフレットの作成、成就館での上映機設置、照明の調整などもすべて学生が行いました。当日は、サプライズで映画監督、ダーヴィド・グロス氏がオンラインで参加しました。
第1部のプレゼンテーションでは、龍谷大学生を対象にした調査結果をもとに「食品ロスの認知度は高いが、意識した行動はしていない。しかし多くの学生は食料を買いすぎない、料理を作りすぎたら冷凍保存をする、賞味期限にとらわれないといた食品ロスに必須の行動を無意識におこなっている」と報告しました。
学生に向けてのアピール次第で食品ロスの意識や行動を促進できることや、食品ロス政策への学生視点からの率直な意見を発表。専門家たちは大きな関心を示しました。
「食品ロス問題は、ゴミ、エネルギー、環境といった事柄と密接につながり、あらゆることに税制や法律が絡んでいます。解決には多領域の連携が不可欠であるとともに、私たち一人ひとりの生活での変化、意識も重要です。今回のイベントでは、学生のライフスタイルを起点に広い視野で問題を捉えていき、これからどのように行動していくべきかを提言できたと思います」と、牛尾教授。学生が、持続可能な社会と未来を築くパワーになることに期待しているとも話していました。
牛尾ゼミでは、大学生協や京都市の環境施設などの調査をおこない、農林水産省での提言を予定。龍谷大学での食品ロスの訴求や削減も進めていく予定です。