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みんなの仏教SDGsウェブマガジン ReTACTION|みんなの仏教SDGsウェブマガジン

金融機関3社と龍谷大学が連携
地域活性化の連鎖を生み出す

龍谷大学は、自らを省みて他を利するという「自省利他」を行動哲学とし、教育や研究をはじめとする大学の使命を通じて、SDGsの推進に何が出来るかを探求しています。

世界にはびこる争い、貧困や飢餓、経済格差、温暖化、差別など、あらゆる問題の本質は、自己中心性にあり、「自分は今のままでいいのか」「自分に欠けていることは何か」と自分のありようを省みることが重要であるととらえています。

仏教の思想を取入れた「仏教SDGs」という独自の旗を掲げ、具体的な活動を推進する中、その中核的な役割を担う施設として、2019年6月「ユヌスソーシャルビジネスリサーチセンター(YSBRC)」を設立しました。

グラミン銀行を創設するなど貧困層の自立支援活動を行い、ノーベル平和賞を受賞されたムハマド・ユヌス博士の名を冠した当センターは、利潤だけでなく、社会課題の解決を追求する「ソーシャルビジネス」を広めていくことを目的としています。

ソーシャルビジネスの地域実装へのアクション「ソーシャル企業認証制度」

このセンターの具体的な事業のひとつが、ソーシャルビジネスの地域実装化です。

2020年12月、YSBRCと京都信用金庫(本店:京都府京都市)、京都北都信用金庫(本店:京都府宮津市)、湖東信用金庫(本店:滋賀県東近江市)との間で、「ソーシャル企業認証制度の創設及び推進に関する連携協定」が締結されました。

ソーシャル企業認証制度とは、社会課題の解決やESG経営を目指す企業に対して、経営方針や事業内容、社会的インパクトなどを基準に、評価・認証を行う制度。

「経営方針」「世のため人のために取り組むこと」「地域社会や地域の人々に与える影響」などの認定基準に沿って、企業からの申請を受け、YSBRC内に設置されたソーシャル企業認証委員会が評価・認証していくもので、受付開始は2021年4月。京滋地区を中心とした中小企業が対象となります。

地域の金融機関とタッグを組み、地域特有のイノベーションに挑戦

社会のために役立つ事業と言っても、地域によって抱える課題はさまざま。

例えば、過疎化が進む地域の商店と、都市部の繁華街にある店舗では、同じ食品を扱っていても、地域における役割は異なります。規模の大小、国内市場か海外市場か、小売業か製造業かを問わず、それぞれが密接する社会課題があります。

大学として、金融機関と協力しながらソーシャル企業認定を行っていくことは、研究の一貫という枠を超えた意義があること。龍谷大学にとっても大きな挑戦です。

ソーシャル企業認定が起こしていく優れた人材と中小企業との化学反応

就職活動中の龍谷大学生に聞くと、世の中のため、地域のために働きたいと考えている人がたくさんいますが、魅力あるソーシャル企業に出会えていない人も少なくありません。

認証されたソーシャル企業を様々な機会を通じて学生たちに紹介することで、学生は企業の魅力を知ることができ、企業は自社に合った人材が確保しやすくなる。このように就職活動のミスマッチの解消に役立つかもしれません。

このように、個々の企業だけではできないことを、龍谷大学ユヌスソーシャルビジネスリサーチセンターが担っていくことで、さまざまな価値を可視化させていきます。

京滋の中小企業を中心にアプローチ。地域に根付く魅力を

ソーシャル企業認定制度の大きな力となるのが、京都信用金庫、京都北都信用金庫、湖東信用金庫という3つの信用金庫の連携です。3つの信用金庫の店舗数を併せると143店舗になります。

各信用金庫の職員は認定を受け、アドバイザー(SCA:Social Certification Advisor)として地域企業の社会課題への取り組みを支援し申請をサポートします。

信用金庫は、中小企業や地域住民のための地域金融機関で、基本理念は相互扶助、会員の出資による協同組織の非営利法人になります。ソーシャルマインドを持つ信用金庫と本学が協働することで、社会課題に向き合う企業の可視化が進み、社会全体にソーシャルマインドがより広がっていくと考えています。