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学生の地域・社会活動を支援する制度「龍谷チャレンジ」の意義とは

学生の自主活動や社会貢献活動を支援する制度「龍谷チャレンジ」。2023年度は、これまでの「自主活動部門」「社会連携・社会貢献活動部門」に加え、新たに「スタートアップ部門」が設けられました。それぞれの部門で採択事業が決定し、学生団体はプロジェクトの実施に向けて動き出しています。

 

大学生の本分は勉強や研究だといわれていますが、龍谷大学はなぜ、正課外での学生の主体的な活動を応援しているのでしょうか。今回は、「社会連携・社会貢献活動部門」で学生を支援している龍谷エクステンションセンター(REC)センター長・木村 睦教授に「龍谷チャレンジ」の目的と意義について語っていただきました。

さまざまな人や組織、地域を「つなぐ」、龍谷エクステンションセンター(REC)

龍谷エクステンションセンター(REC)は、龍谷大学が組織的に地域社会と連携する体制を構築するために、1991年に作られた組織です。「産官学連携事業」「地域連携事業」「生涯学習事業」の3つを柱として運営しており、深草・瀬田キャンパスの両方に拠点があります。

エクステンションは「普及・還元」という意味があります。「大学がもつ知的資源を地域に普及・還元する」「地域の人材や資源、課題を大学に取り込んで教育や研究に活用する」「その成果をあらためて地域に還元する」という目的があります。

RECは、コンピュータに例えるとインターフェースだといえます。コンピュータの優れた頭脳を発揮させるためには、ソフトウェアやモニターなどと頭脳を相互に「つなぐ」インターフェースが高性能である必要があります。RECは、大学と地域、学生と学生、地域と学生、企業と学生…など、さまざまな立場の人や組織を「つなぐ」役割を担っています。

 

龍谷大学は30年以上前に、本学の柱を「教育」「研究」「エクステンション」とすることを決めました。それを受け、1991年に誕生したのが龍谷エクステンションセンター(REC)です。当時、欧米の大学ではエクステンションの概念が広がりつつありましたが、日本にはまだそういった考えはなく、「大学は、学問や研究をするための場」と捉えられていました。

日本の大学でエクステンションの重要性が注目されるようになったのはここ10年ほどでしょうか。同じような組織をもつ大学が出てきたり、国から「大学は社会と連携して社会貢献活動を」と勧められるようになったりと、昔に比べると大学や社会の意識が変わってきたと感じます。エクステンションへの意識の変化、そして普及を見てきた立場から申し上げると、龍谷大学とRECは、大学エクステンションの先駆けであったと言えるでしょう。

支援金やスタッフのアドバイスでプロジェクトの成功を後押し

学生の自主活動や社会連携活動を支援する「龍谷チャレンジ」は、2016年にスタートしました。「社会連携・社会貢献活動部門」の元となったのは、RECが2015年よりおこなっていた「社会連携・社会貢献活動支援制度」です。「自主活動部門」は、学生部が主催していた自主活動団体支援プログラム「SMAP計画(※)」が元となっています。つまりは、RECと学生部がそれぞれおこなっていた制度を一本化したのが「龍谷チャレンジ」です。

※自主活動団体支援プログラム(SMAP=Self Making Assist Program)のことで、学生らしい自由な発想でかつ特色ある活動を志している自主活動団体に対し、資金面の援助を行なっていた。

 

「龍谷チャレンジ」は、本学学生であれば誰でも応募ができます。例年、5月から6月にかけて募集がおこなわれ、書類審査と面接を経て、採択事業が決定します。2023年度の支援金額は、「自主活動部門」「スタートアップ部門」では上限20万円、「社会連携・社会貢献活動部門」では上限30万円。「社会連携・社会貢献活動部門」の経費は、再生可能エネルギーを活用したメガソーラー発電施設「龍谷ソーラーパーク」の事業主(株)PLUS SOCIAL 及び PS 洲本(株)からの寄付金を原資としています。

また、「スタートアップ部門」採択団体は、深草・瀬田キャンパスそれぞれにある「創業支援ブース」の利用も可能です。オフィス感覚で作業をしたり、入居する学生たちと交流したりできるスペースなので、プロジェクトをスムーズに進められるだけでなく、アイデアが生まれやすいといったメリットもあります。

RECではスタッフによる人的支援もおこなっています。学内プロジェクトの場合は開催スペースの手配、車両入構など許可申請のサポートに加え、「プロジェクト進行で困っていることがある」「起業を考えている」という学生向けにアドバイスもしています。

貴重な経験を通して、仲間ととともに成長してほしい

2023年度の龍谷チャレンジ「社会連携・社会貢献活動部門」では、12団体を採択しました。残念ながら採択に至らなかった団体もありますが、どのプロジェクトも、コンセプト、具体的な説明、実現性の高さなどすべてにおいてよく練られており、本当に素晴らしかったという印象です。

近年の傾向としては、多様な学生が手を組んでいる団体が多い印象です。たとえば、文系・理系の学生が手を組む、留学生や帰国子女がメンバーにいるなど、さまざまな属性の学生による団体です。

 

今は、ダイバーシティが当たり前になりつつあります。勉強や研究に一所懸命な学生がいてもいい。運動系や文化系など部活やサークル活動に熱心な学生がいてもいい。社会のために何かやりたいと起業する学生がいてもいいのです。そこで、各々のフィールドで頑張る学生たちが手を組み、何か新しいことを始めたらおもしろいことになるでしょう。多様な学生が混ざることでお互いの得意分野を発揮できる、足りない部分を補完できる、さらには、いい意味での化学反応が生まれやすくなるのかなと感じました。

木村睦RECセンター長

技術ありきのプランでも、ディレクションやマネジメントは同じくらい重要です。理系の学生たちが「新しい技術を世に出したい」と打ち出す場合でも、その技術が地域や社会にどんな効果があるのかを探ったり、社会貢献度を上げるために微調整をおこなったりするディレクションやマネジメントは必須となります。逆に、文系の学生が「こんな技術があれば、プランを形にできるはず」というアイデアを具現化するのは理系の学生というプロジェクトもあるでしょう。

 

学生のみなさんには学友のプロジェクトに注目し、参加したり手伝ったりしてみてほしいですね。学友が頑張っている姿を間近でみることで、「自分も何かできるかもしれない」と刺激を受けるでしょう。そして、ぜひ来年度の「龍谷チャレンジ」に向けて構想を練っていただきたいと思います。

まずは、「おもしろいことを仕掛けてみたい」という動機から始めるのもよいでしょう。学部やゼミの仲間に呼びかけたり、先生やRECスタッフに相談したりすると、アイデアが形になりやすくなります。プロジェクトが成功しても、もし思うようにいかなかったとしても、ひとつの目的に向かって頑張った経験はきっとみなさんの大きな糧となるでしょう。大学もRECも、学生のやる気を応援する体制を整えていますので、どんどん制度を活用していただければと思います。